Atlus: “Nocturne Developer’s Interview”

Developer’s Interview“, Atlus.jp, February 2003.  [Japanese]


QUESTION: 総合プロデューサー岡田耕始&クリエイティブディレクター金子一馬の下、一本のゲームとして組み立てなければいけない現場監督として、色々大変だったのでは?

ANSWER: そうですね。まず作品のテーマについて、岡田から「創造で行きたい」と言われた際に、テーマが大きすぎて、正直すぐにピン!とこなかったのですが、シナリオ担当の磯貝と詰めていく中で、一つのアプローチとして、壊れたコミュニティの中で、危機打開のために人間がとれる行動、それぞれの「創造」という、人間の可能性に対する問いかけが出来るのではないかと捉えた時に、完成形が見えました。これは、「現代社会、混沌、普通の高校生、マルチエンド」という従来設定に加えて、「複数のコミュニティとの関わり」、混沌の中で様々な可能性を秘めた「悪魔化した主人公」という設定の根底に繋がっているわけです。この「壊れたコミュニティ」というのは、現代の社会のあらゆるところに存在するんです。それは家庭であったり、学校であったり、会社であったり、人それぞれだとは思いますが、これを、今作のゲーム舞台である「ボルテクス界」と重ね合わせてみても、面白いかと思います。

──────シンプルでありながら、奥深さを併せ持つ難しさ
次に、ゲームデザインに関して、「シンプルだけど奥深い」システムづくりは岡田からの重要なリクエストだったので、練りこみには苦労しましたね。既存のシステムに、追加システム仕様を加えていくという従来の構築を完全にリセットしつつ、より深いシステムにする為に、「仲魔の成長」を大きくフィーチャーしました。これは、今までの作品の立ち上げ時に必ず案として上がりながら、合体システムとの相性の懸念で見送られる“禁じ手”のようなもので、仕様検討には時間がかかりましたね。

──────装備品のあり方一つにもこだわり
「マガタマ」についても同様で、例えば、過去の作品では、現代社会の中に出現する悪魔と戦う為に、人として武器を装備するのが基本。しかし、今回は自分自身、「異界そのもの」の上で生きていくということで、装備まわりの仕様は全く違うコンセプトでいきたいと。そこから生まれたのが「マガタマ」です。
従来の武具装備のゲームプレイよりも、よりプレイスタイルに幅を持たせることで、シンプルかつ奥深いものにするために、システム仕様の中では、かなり時間をかけましたね。
金子からは、デザイン面に限らず、システム面でも、「仲魔の成長は楽しそうだけど、カスタマイズの自由度で、個性が消えないように配慮しないとね」とか「成長させた悪魔が合体で完全に消えちゃうのは寂しいから、どこかに登録とかしたいよね」といったプレイをする上での、純粋なアイデアを頂いてます。

ともあれ、様々なリクエストやアイデアを受けながら具現化させるのは、
かなり大変です(笑)

QUESTION:「真・女神転生」のシリーズ続編という事で、一番意識したトコロは何処でしょう

ANSWER: シリーズ続編を意識するにあたって、ユーザーへのアプローチに対する「独特のスタンス」を一番に大事にしようと思いました。例えば、ゲームの舞台が現実にある観光地であるとしたら、ゲームの開発者というのは、その旅のナビゲーターみたいなものかと。
ナビゲーターは決して、次に進むべきラインを独断で決めてはいけないし、欲しい以上の情報を与えたり、逆に、全く旅行者任せにしてしまっても、良い旅ににはならないと思うんです。価値観を押し付けたり、感情移入の妨げや、イメージの固定をしてはいけない。

──────大切なのは距離感
こういった部分の開発者とユーザーのやり取りの「適度な距離」を保つことが「真・女神転生」のスタイルだと考えているんです。プレイヤーは、進め方を自ら考え、イメージを膨らまし、感じ、創造していく。シナリオに限らず、イベントの会話・シーンの長さ・エンカウントからバトルへのスピード、とにかく全てこの距離感のバランスというものを徹底して意識してます。

QUESTION: 最後にファンに向けて一言
ANSWER: 表面的には、リニューアルしたところが多く、「コレが女神?」と思う人もいるかと思いますが、触ってすぐに、「新しい真・女神転生が始まったんだ」と感じてもらえると思います。今後にもご期待ください。

21 February 2003 / 1


コンニチワ、金子一馬です。

唐突ですが、みなさんもうヤツには会われたでしょうか?
カブキチョウで夜の帝王になると言っていたアイツです。かなり邪悪になってますが、今回のアクマのお気に入りのひとつなんですよね。
まあ元はアクマ担当のスタッフが制作途中にモデリングが出来ていないアクマの仮データとしてあの白くて丸いヤツを黒くして入れていた事から「コイツいいじゃん」って事で急きょ入れたネタなんだけどね。
まあ、そんなこんなでようやく出来上がった『真・女神転生III-NOCTURNE』ですが、皆様、楽しんでいただけてますでしょうか?。
メディア関係では、僕や岡田が偉そうな事を言ってますが、実際、がんばって作っているのは現場のスタッフです。金子的には非常に満足な内容ですが、どんな小さい事でももしなにか気になった事があれば教えてください。どちらかといえば激励の方が喜ぶとは思いますが、どんな意見でも彼らの励みになると思うので。
それではスタッフ一同、今後ともよろしく。

28 February 2013 / 2


「真・女神転生III-NOCTURNE」は今までのMegatenWorldを踏襲しつつ新たな【創造】を目指した作品です。
これから始まるという意味も含めてMegatenWorldでしか味わえない世界を存分に堪能してください。
現在は真3の開発、発売も終えて、次期作品へ取り組んでいます。
今はまだ語れませんが(笑)出来るだけ早くその発表もしたいと思っています。
それまで「真・女神転生III-NOCTURNE」をプレイして待っていて下さい。

7 March 2013 / 3